机に突っ伏してうたた寝してたおれは、人の気配に意識が半分目覚めた。
「陛下。そんな所で寝ていると、風邪をひきますよ。」
いつもなら、『陛下って呼ぶな!名付け親!』って返してやるんだけど、まだ眠かったからそのままでいた────ちょっと期待してたのもあったし。
そしたら、軽く肩を竦めた(見てなくても解る)後、護衛は、おれの膝の裏に手を添え、背中にも手を回して抱き上げた。
いわゆるお姫様抱っこだ。
落ちないように首が内側に向くよう傾げられ、自然と頬がコンラッドの胸に当たる。
その温もりにおれの胸はドキドキしてきて、意識は完全に浮上してるのに、今更起きるのもわざとらしいし・・・・・何より、このままで居て欲しくて寝たふりを続けると、無情にも、すぐにベッドに着いてしまった。
コンラッドは、細心の注意を払っておれを下ろすと、腕を体の下から抜いた。
残念だけど、これで、布団を掛けてもらって終わりだ。
と、思ったら、
「で?俺は、これからどうすればいいんですか?」
上の方から声が掛かる。
・・・・・やっぱ、狸寝入りバレてた。
「あなたの眠りを妨げないように、部屋に戻りましょうか?それとも・・・・」
そして、かがみ込む気配。耳に温かい息が掛かる。
「あなたが夢の中でも寂しくないように、添い寝しましょうか?」
こんな風に耳元で囁かれたらたまらない。
おれは、あえなく白旗を上げた。
「・・・・・ただの『添い寝』じゃヤダ。」
恥ずかしいのを堪えて、上目遣いに目一杯のユーワクをすると、
コンラッドは、満面の笑顔で答えてくれた。
「お望み通りに。」
うたた寝してた時は、ここまで期待してたワケじゃねーけど、おれは、コンラッドのおかげで、冷え込む夜にも風邪をひくことなく、温かくてとっても幸せな時を過ごした。
(2010.02.01)
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