うつらうつら…
本日の天気、快晴。
ぽかぽかと気持ちのいい陽が執務に追われる有利の眠気を誘う。
「陛下、起きて下さい」
「ぅ〜陛下って言う…な…名付け親…(こくっ)」
「陛下」に訂正を入れつつもこっくり舟を漕いでいる。
目を擦り眠気を抑えようとしている有利の姿は、容姿も相まって愛らしいことこの上ない。
コンラートの目も自然細まってくる。
「コンラート、小僧を部屋へ連れていけ」
「良いのか?」
普段のグウェンダルらしからぬ言葉に、コンラートは軽く目を瞠った。
「その状態ではどのみち執務は無理だろう」
はぁ…と深く溜め息を吐きながら眉間の皺を深くしたグウェンダルに、コンラートは苦笑した。
二人の視線の先に居る有利は、とうとうパッタリと机に突っ伏してしまった。
有利からグウェンダルに視線を移し、ついでに…と微笑んだコンラートの顔に、グウェンダルは嫌な予感を感じた。
「明日も休み貰っていいかな?」
予感的中
ニッコリと笑ったコンラートとは対照的に、何故か冷や汗の流れるグウェンダル。
「そ、それは…」
ニコニコ
「執務に支障が…」
ニコニコ
「………(汗)」
ニコニコ
「はぁ…分かった…」
「ありがとうグウェンvV」
グウェンダル撃沈。コンラートのニコニコ笑顔には勝てなかった。
ホクホクと笑みながら有利を抱き上げたコンラートはさっさと魔王部屋へと向かった。
───夕方
漸く目の覚めた有利は、自身を包む温もりに首を捻った。
目に映ったのは彼の護衛兼名付け親兼恋人の端正な寝顔。
「…っぅぇぇぇええええ!?」
「ん…ユーリ、起きたの?」
「おおお起きたのって、何でコンラッドが一緒に寝てるのぉおお!!??」
プチパニック状態で真っ赤な有利を尻目に、にこやかに笑うコンラート。
「何でって、ユーリを運んで来たら俺も眠くなって」
「だからって、何で…「ユーリは俺と一緒じゃ嫌?」ぅ…」
悲しそうに訊かれ、有利は一瞬言葉に詰まる。
「い、嫌じゃ…ない、けど…」
「じゃあいいよね♪」
真っ赤な顔でモゴモゴ言った有利に、途端に喜色一杯に笑って有利を抱き締める腕に力を込めたコンラート。
「あの、でも…夕飯…」
「お腹空いたの、ユーリ?」
「いや…別に…。でもっ!行かないと怪しまれるっていうか…」
何やら怪しい雰囲気のコンラートに、有利は何とか逃れようと試みた。
「大丈夫だよ。夕食は部屋で摂るって言っておいたからvV」
有利敗北。やはりコンラートから逃れることは不可能であるようだ。
有利が二の句を継げないでいる間にコンラートの手は有利を抱き締めていた腰から少しずつ下へと降りていた。
「っ、コンラッド!?ちょ…ゃ…」
気付いた頃には時既に遅し。
さわり…と双丘を撫で上げられ、有利の躯がぴくん、と跳ねた。
「ね、ユーリ。一つ忠告。あんまり無防備な事してると襲われるよ?」
忠告じゃないじゃんか――――!!!!
言うが早いか、有利の口を塞ぎ深く口吻けてきたコンラートに有利は内心で絶叫した。
有利は誓った。どれ程気持ちのいいぽかぽか陽気だろうと、執務に追われ睡魔が襲って来ようと、二度とコンラートの前でうっかり眠ったりしないと。
(2010.02.19)
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