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いつの間に眠ったんだろう。
半ば寝ぼけた頭のまま、薄っすらと目をあけると、そこはまだ夜の闇の中だった。
「ユーリ?」
「ごめん、起こした?」
微かに身じろいだだけなのに、隣で眠っていたコンラッドが反応した。
多分起こしてしまったのだろう。嘘をつく代わりに彼は問いに答えず、俺の身体を引き寄せて腕の中に抱き込んだ。
「あったかいな」
「そうですね」
二人しかいない部屋の静寂を崩さないように、囁くように会話する。
眠る前の激情が嘘のような満ち足りた時間。
「身体は辛くないですか?」
「んー…、ちょっとだるいけど、へーき。試合の終わった後みたいな感じっつーか」
疲れはあるけれど、気分は悪くない。
温もりを、そして満ち足りた気持ちを分け合うように、コンラッドの胸元へと擦り寄った。
「無理をさせてすみません」
「謝るな」
「でも、ユーリ…っ」
黙れ。
抱きこまれた腕の中では無粋な唇を塞げない。
先ほどまでの空気が壊れないように、鎖骨へと歯を立てた。痛みを感じない程度に調節しながら、甘噛みしたら視界の端で喉が動くのが見えて、少し楽しくなった。
「あんた強引なくせに、たまにすげー弱気だよな」
「すみません」
責めているわけではないけれど。
拒否できなかったのは、受け入れてしまえるぐらいに、気持ちが傾いていたからだ。
熱に浮かされながら、愛しいと思ったからだ。
「嫌なら蹴り飛ばしてやるから、安心しろよ」
「…それはちょっと……」
複雑そうなコンラッドの返事は無視して、俺は二度寝を決め込んだ。
おやすみなさい、また明日。
(2009/08/12〜2009/08/18)