ポッキーゲーム


 男同士でしたって気持ち悪いだけだと思っていた。もちろんいつだって爽やかな名付け親が気持ち悪いって意味じゃないぜ。ただ男同士というシチュエーションがどうしたってテンションをさげる。
 カレンダーを見て、ポッキーの日だなと何となく呟いただけだったのだが、ポッキーとは何かを説明している間に、ポッキーを使ったゲームの話になっていた。
 やってみましょうと、楽しそうに言った名付け親が、似た形状の菓子をどこからか持ってきた。ポッキーじゃないのだからもはやポッキーゲームではないのではないなとぐるぐる考えている間に、口にポッキーもどきをいれられた。
 ゲームとはいえ勝負とあらば負けるわけにはいかない。相手が初心者ならばなおさらだ。おれだって初めてとはいえ知識の分だけリードしている。だがしかし、いざ逆側の端をくわえた彼を前にすると、妙な緊張感が沸いてくる。
「折れちゃいましたね」
 勝負はあっけなくつき、早々に敗けを認めた名付け親が、親ばかぶりを発揮して名付け子を誉めてくる。
 だがしかし、ちっとも勝った気がしない。
 どうぞ、と再び口に入れられた二本目をばりばり噛み砕いたところで、ようやくそれが甘くて香ばしかったことに気づいた。


(2013.11.11)