長く甘い夜の話
「ぁ、ああっ……あああーっ……」
切なげな恋人の声が耳に響く。甘い声と、互いの腹に掛かる飛沫が彼が達したことをコンラートへと伝えた。
熱く包み込みながら蠢く内壁が、共に極めようと誘いをかけてくる。それに逆らうことなく、一番深いところへと押し入ったコンラートはそのまま腰を震わせて内部へと欲望を迸らせた。
「……っ、はぁ…」
ゆっくりと腰を数度くゆらせてから、一度だけ強く抱きしめたユーリの身体を離して腰を引こうとした。熱く濡れたそこは心地良いが、いつまでも繋がっていたいという欲求にしたがえば、彼の身体に負担がかかる。
だが、本当に離れることを拒んだのは意外にもユーリの方だった。
身を起こそうとしたコンラートの首へと絡まった腕が、コンラートを押しとどめる。
「ユーリ?」
どうしたのかと覗き込もうとした顔は見ることが叶わなかった。
「……っと」
もっと。
代わりに肩口に埋められた彼の唇から零れた小さな声が耳に届くと、コンラートは僅かに目を見開いて息を呑んだ。
再び組み敷いた身体に覆いかぶさりながら、突き上げた。
その度に、ぐちゅぐちゅと粘着質ないやらしい音が響く。
負担をかけないようにと気遣えたのは最初だけだ。ゆっくりとグラインドさせた動きは先に放った精液に助けられながらやがて大きくなり、熱く包み込む内壁の動きに誘われるままに乱暴なものへと変わっていた。
「コン……ラッ、ぁ、あ……」
艶めいた声に名を呼ばれるだけで、簡単に理性が砕け散る。
恋人へと欲望をぶつける時でさえ、まだ少年と呼べる幼い相手を気遣うことを忘れたことはなかったはずなのに。
初めて、彼から求められたせいかもしれない。
「ユー、リ」
「……んっ、ぁ……コンラ……」
ほのかに色付く全身の中でも、特に濃い色でコンラートの視線を奪う胸の飾りへと唇を寄せた。「ひっ…ぁ、あ……」
固く尖った果実へと軽く歯を立てることで上がった声は悲鳴じみているのに、弓なりに反った背はもっととコンラートに強請るようだ。
お互いに気持ちよくなれる場所を攻めあげる。
「あ……んっ、ぁああっ……」
すっかり勃ち上がったユーリの欲望が、ぴたりと覆いかぶさったコンラートの身体へと擦れながら限界を訴えていた。
強い動きで最奥を突き上げたコンラートは硬く張り詰めた自身の熱を弾けさせながら、ユーリの下肢へと手を伸ばした。
手の中にすっぽりとおさまった幼いそこもまた、激しく震えながら白濁を迸らせた。
「ごめんね、ユー…リ……」
乱れた息のまま、コンラートは白く汚れた手のひらで恋人の頬を撫で付けた。
涙で視界がぼやけた彼は、まだ気づかない。
「ゃ、な、に? …ぁ、あ……」
続きを強請ったのは彼の方だ。だから、止めてあげられなくなったのだ。
そんな風に半ば彼に責任を押し付けながら、衰えぬ熱で彼の中を擦り始めた。
「あぁ……ユーリ……」
「ぁ、や……む、り……」
大きく腰を引き、回すようにして突き込めば先に二度も放った精が狭い入口から零れ出る。
膝裏にかけた手を押すことで大きく開かせた彼の下肢の間で、コンラートが動く度に濃く色付いた彼の熱もまた揺れていた。既にたくさんの精液で腹を白く汚したそれが、何度目かわからない解放を求めて先端から白い蜜を垂らしている。
「ぁ、まっ、て……」
気持ちいいのか苦しいのか、涙で濡らした頭が左右へと振られることで白いシーツに散らばった黒い髪を、コンラートは美しいと思った。
懇願するような声さえ、誘っているとしか感じられない。
「……ぁ…んっ……ン」
「っ……まだ、イケる……でしょう……?」
狂おしいほどに愛おしい。
うっとりと絡みつくような視線を恋人に送りながら、コンラートは三度目の頂へと昇るべくユーリの身体を深く貪った。
(2013.04.07)