小ネタ3


 余興の一環として、ユーリは日本の伝統衣装を着た。
 盛り上がってくれたらという願い通りに宴は盛り上がり、満足しながら自室まで護衛であるコンラッドに送ってもらったまでは良かったのだけれど。



「ん?」
 腹を締め付けていた帯を解こうとした手をとめられた。
「綺麗でした」
 背後にいた彼が少し屈んで、耳元で囁く。既に何度目か分からない褒め言葉は、今夜聞いた中で一番の甘さを持ってユーリの耳を擽った。
「……んっ」
 首をすくめている間に、前へと回された手が無遠慮に胸もとを割る。不慣れな着付けの着物はあっさりと肌をさらして、ユーリを慌てさせた。
「ちょっと……っ…」
 いつもの詰襟と違い、無防備にさらされたうなじに、舌が押し当てられた。唾液を含んだそれがゆっくりと襟足に向けて這い上がる。同時に大きな手のひらが胸もとをゆっくりと撫でれば、肌が粟立った。
「コン、ラッ……」
 まだ乱れていない裾の奥、下着の中で熱を持ち始めた自身に気づいて、僅かに腰を引くと、背後のコンラートの下腹部に身体を押し付けることになり、自分だけではないのだと気づかされる。
「……ぁ」
 がくがくと膝が震える。
 立っていられなくなりそうで、足に力をこめたユーリの状況になど構いもしない。胸もとを撫でていたコンラートの手は帯を越え、そっと下腹部へと触れた。
「ぁ、だ、め……だ」
 縋るものがなにもない。空をさまよた指先を、何も掴めないまま握り込んだ。
 やんわりと布越しに撫でられただけで、身体が跳ねる。触れられるたびに素直に頭を擡げるそこを、コンラートはもどかしいほどに優しく、繰り返し撫でた。
「ぁ、あ……」
 弓なりに反った背を、背後の広い胸板に押し付けてた。
 コンラートの肩に頭を預けて喉をさらせば、そこに口付けられる。
「も、…ゃ……」
 膝が更に震え、立っていられなくなる寸前、たくましい腕に腰を抱かれた。


(2013.01.03)