小ネタ11


 まるで、夢の中みたいだ。
 悪い夢なのか、良い夢なのか分からない。
「ぁ、あ、あ……あ……っ」
 後ろから深く突き上げられる。
 内側から広がる衝撃にも似た強い感覚と生まれる熱に翻弄されながら、助けを求めるように目の前の恋人へとしがみ付いた。
「大丈夫ですか?」
 優しい問いかけに、大丈夫じゃないと首を振る。荒い呼吸を繰り返しながらも唇を合わせると、一度抜けかけた熱が再び奥へと入り込んできた。
「……っん」
「妬けちゃうな、ユーリ」
 背後から攻め立てながら、震える肩に唇を押し付けているのも、また恋人だ。
 一人だけだったはずの彼が二人いる。この状況はあきらかにおかしいのに、どちらも確かにコンラートであるとユーリには理解できた。
 だからこうして、二人の恋人の間で翻弄されることになってしまったのだけれど。
「コンラッ……」
 唇を合わせたまま深くまで繋がろうと舌先を絡めれば、今度は後ろの恋人に腰を引かれて深くまで突き上げられる。
「やぁ…ぁ……」
 前から伸びてきた手が両脇へと差し込まれ親指が強く胸の飾りを押しつぶしたかと思えば、後ろから伸びてきた手が限界まで張り詰めた中心へと絡まる。
「も、やっ…ぁ、あ……」
 四つの手と二つの唇と。二人の恋人に追い詰められながら、ユーリは目元を涙で濡らした。
『ユーリ』
 前から、後ろから、甘さを含んだ声で名を呼ばれるたびに、思考が霞がかっていく。
 もう何も考えられない。
「コンッ……ぁ、あ……」
 二人の恋人のどちらに対する呼びかけなのか自分でも分からないまま、ユーリは恋人へと縋りつき、与えられる感覚に翻弄されながら大きく身体を震わせた。


(2013.08.26)