小ネタ23


 服を脱がせると、目に見えて不安そうな表情へと変わった。
「痛いことはしないよ」
「う、ん」
 辛くさせるかもしれないけれど、傷つけたいわけではない。大切にしたいと思っている。
 嘘ではない言葉を口にしながら、何かを言おうとして薄く開かれた唇を塞ぐ自分は、ずるい大人だという自覚はあった。
「愛してるよ」
 むき出しになった肌へと唇で触れていく。
 肩も、胸の先も、臍も、ひとつずつ。触れるたびに震える身体を撫でることで慰めながらも、止めてあげることはできそうになかった。
 彼を欲しいという気持ちはどんどんと膨らんで、もはや自分の中で飢えともいえるほどに強く激しい。
 立てさせた膝の間に身を潜ませて、太もものやわらかな肉を唇で食んだ。
 付け根に近づくにつれて逃げようとする身体を捕まえて、いちばん弱い場所を愛撫する。
「コン、ラッド……」
 しゃくりあげるような呼気で名を呼ぶ切ない声に、胸が震えた。
 力の入らない彼の指先が髪に絡んだ。くしゃくしゃと髪を掻き混ぜ、甘い声を零しながら身を捩る姿に身体が熱くなる。
「気持ちいい?」
「ぁ、や……、や、だ……コ、ン……ぁ」
 熱を孕んだ制止の声は、煽る結果にしかならないことに彼は気付かない。


(2014.05.26)