小ネタ26
「下着、汚れちゃうね」
耳元で笑み混じりに言われた言葉に、カッと顔中が熱を持った。
「だったら、ぁ……」
だったら、脱がせてくれればいいのだ。
シャツもズボンもあっという間に脱がせたくせに、どうしてだか最後の一枚だけは手付かずなままで腕の中に閉じ込められた。
ベッドで胡坐をかいた彼の足の間で、彼の手が体のあちこちに触れるたび、ユーリは身を捩っては吐息を漏らす。
すっかり形を変えてしまったソコがせまい下着を押し上げていた。
「ダメだよ」
「んっ、ぁっ」
開放したくてサイドのリボンを引こうとした手は、あっさりと捕まってしまった。持ち上げられた手の行き先は、彼の口許。
背後から首を伸ばした彼は、ユーリの指の付け根をぺろりと舐めてから、指先に向けて舌を這わせた。
唾液をたっぷりと絡めて響く水音は、いつもしてもらう下着の中への愛撫を思い起こさせて、腰が震える。
そんな風にされたい。けれど、されたらきっとひとたまりもないだろう。
「こん、らっど……ぁ…」
「して欲しい?」
空いたほうの彼の手が、ユーリの下着の上へ。僅かに湿ったふくらみをやんわりとおさえつけながら、どうされたいのか問いかけてくる。
今日の彼は意地悪だ。
彼の口許から取り返した手で、頬に触れた。
不自由な体勢のまま横を向けば、楽しそうに細められた瞳とぶつかった。
自分ばかりと思わずにいられるのは、ユーリの尻に触れる彼の熱もまた昂ぶっていることに気付いているからだ。
「ユーリは本当に感じやすいね」
「ち、がっ……」
膝の上に乗せた身体を背後から抱きしめたコンラートは、耳元で低く囁きながら、自分の言葉を証明するように胸元をなでた。
ぷくりと膨らんだ飾りを摘まんで少しだけ力を入れると、それだけでユーリが身体を震わせる。
「んぁ……や、……っ」
違うのだと身じろぐユーリをコンラートが逃がすはずがない。
決して、からかいたいだけの言葉ではないのだ。
与える愛撫のひとつひとつに反応して、甘い吐息を零す彼がかわいいだけで。
「だ、って……ぁ……」
「うん?」
するりとコンラートの手のひらが足の付け根の内側をなでた。それだけで、また彼の身体が小さく跳ねる。
本当にかわいらしい。
「どうしたの?」
何かを言おうとするユーリのために撫でる手を止めたのだけれど、ただ大腿に触れているだけの感触さえ気になるのか、ユーリはもぞもぞと腰を揺らした。
「あんた、が……っ、さわる、からっ……アッ」
大腿から移った指先が、彼の熱に絡みついた。
触れられないまますっかりとろとろになっているのは、やはりユーリが感じやすい証拠だ。
彼の反応を僅かも見逃さないようにと後ろから彼の顔を覗き込む。
「俺だから?」
幹を擦る指へと蜜が絡んだ。
ユーリの身体が大きく跳ねる。荒い呼吸を繰り返したユーリが、怒りと羞恥に頬を染めながら、コンラートへと振り返った。
「あんた、だから……にっ、ぁ、決まって、ぁ、あ」
他に誰がいるのかと、彼は怒るけれど。
「うん、そうだね」
以下略
やわらかな丸みがとてもおいしそうで、唇を寄せてから軽く歯を立てた。
「んっ」
小さく漏れる吐息が、甘い。
「コンっ……ぁ……」
「うん、すぐにあげるから」
手にしていた瓶の蓋をあけると、ベッドの上には甘い香りが広がった。
ユーリも感じたのだろう、香油の匂いに反応するように腰が揺れる。
「……ん」
とろみを帯びた液体をたっぷりと彼のお尻へ。丸いラインに沿って流れ落ちる液体を指で絡め取る。
「腰をあげていてね」
指先をそっとしのばせると、くちゅりと濡れた音が響いた。
指一本をぎちぎちと締め付けるそこが痛みを感じないように。ゆっくりと抜き差しを繰り返す。
優しく丁寧に、時間をかけた行為に彼の唇からこぼれるのは熱い吐息だ。
「ぁ……」
指先が白くなるほどに強くシーツを握り締めて目元を潤ませる姿がたまらない。
指を増やせば、背がしなる。うっすらと汗ばむ肩に唇を寄せて、愛しい恋人の名を呼んだ。
「ユーリ」
最初のきつさが嘘のように、今は内側がやわらかい。
指を締め付けて震える粘膜がもっと奥へと誘っていた。
「も、やっ……ぁ……」
頬をシーツへと押し付けたまま振り返った彼が、小さく喘いだ。
「たまらないな」
欲しい、と彼の瞳が訴える。
いつも健康的にきらきらと輝く彼の瞳が、熱に潤むこの瞬間が好きだ。
(2014.07.15)