小ネタ27
肌触りを確かめるようにわき腹を何度も撫でられて、身をよじった。
けれど、しっかりとまわされた腕はびくともしない。
「……んっ」
肌蹴たシャツの間でちゅと唇を押し付けられたのは、心臓の上だった。
二度、三度と繰り返し続いた乾いた皮膚の感触は、すぐに濡れたものへと変化して、尖る先端を軽く摘まれた。
「ぁ、っ……」
吸われたり舐められたりするうちに、下腹のあらぬところがじわりと熱を持つ。
今、自分がいるのは彼の膝の上。跨ぐようにして抱き上げられた足の間、気づかれるのではと身じろくと間近の瞳に射抜かれた。
「嫌?」
問いかけるためにと離れた唇のかわりに、胸元に触れたのは大きな手。
嫌だと言えば、きっと彼はやめてしまうのだろう。いつだってとても大切にされている。
「嫌じゃ、ない」
零れた吐息が熱い。
手のひらには、きっと強く脈打つ心音がしっかりと届いているのだろうなと自覚して、強く目を閉じた。
嫌だと感じるのは、恥ずかしさが先立って身の置き場がなくなるようなこの感覚だけだ。身を任せてしまいたいと思うのに、羞恥心が少しだけ邪魔をする。
どうにか搾り出した言葉を受けて、嬉しそうに笑みを浮かべる彼の反応がみなくても分かるから、いっそうの恥ずかしさをごまかすために目の前の頭を抱きこんだ。
(2014.10.19)