小ネタ46
「あ、コン、ラッド……」
まって、と吐息混じりに乞われて、コンラッドは膝の上に乗せた恋人の顔を背中越しに覗きこんだ。
「苦しい?」
乱れた呼気は熱を孕んでコンラッドを誘うけれど、苦しそうでもある。
尋ねる声に心配を滲ませると、ユーリはぎこちないながらも首を横へと振った。
「ちが、……っ、そう、じゃなくて、ぁ、あ」
彼が辛くないようになるべく動かぬように気をつけてはみるけれど、慰めにと目の前の首筋へと口付けただけで深く埋め込んだ熱を締め付けられてコンラッドは奥歯を噛み締めた。
「……っ」
「あ、ごめ、…・・・だっ、て」
「うん?」
紡がれる言葉は、少しだけ舌ったらずで、いつもより幼い。
邪魔せぬようにと、うずく熱を誤魔化しながら耳を傾けたコンラッドは、たどたどしく続く言葉に目を瞠った。
「……うご、たら、いっちゃ……う、から……ぁ、あ」
目の前の身体を抱きしめる腕の力を強めた。悲鳴じみた声は、コンラッドを咎めるようではあるけれど、それ以上に甘さを孕んでどうしようもなく煽られる。
「ユーリ」
「やだ、や、あ、あっ」
ずん、と下から突き上げた。細い身体がコンラッドの上で跳ねる。
「いくらでも、いっていいから」
そんなことを気にする彼がいじらしくて、いとおしい。
汗の滲む項に口付けながら、彼の足の間で震える熱を優しく包んだ。限界を訴えるそこを焦らすことなく愛撫する。
「あっ、ん、ああっ」
何度もシーツを蹴りながら強すぎる刺激から逃げようと浮き上がる身体を下から突き上げ、引き戻す。
繰り返すコンラッドの吐息もいつしか乱れて、恋人の名を呼ぶ声が低く掠れた。
(2016.10.12)